市販で購入できるミノキシジルや内服(タブレット)の効果と副作用

前回はAGA治療の予防的治療について、ご説明しました。AGA解説シリーズもいよいよ第4回、最終回。
AGA治療には「予防治療」と「毛髪再生治療」があり、今回はそのうちの「AGAの毛髪再生治療」について3回にわけて詳しくご説明していきます。

1. 市販で購入できるミノキシジルや内服(タブレット)の効果と副作用 (本記事)

2. 再生医療「ミノキシジル・メソセラピー」はAGAに効果がある?

3. 植毛とは何か?自毛植毛の安全性と仕組みについて 


なお、本記事では一般的な医学知識を紹介しております。ご自身の症状に関しては、必ず医師や専門家にご相談ください。

AGAの治療とは?

AGAは頭頂部、生え際等でゆっくりと薄毛が進行する病気で、体内で生まれた悪性男性ホルモンの“DHT(ジヒドロテストステロン)”の 作用で、毛を生み出す器官“毛包”が徐々に小さくなっていきます。

小さい毛包から作られる毛は細く柔らかくなり、成長する期間も短くなるため、結果的に髪が通常よりはやく抜け落ちてしまうのです。

治療の方法は大きく分けて2種類あり、今回は毛髪を再生させる治療について詳しくお話します。

悪性男性ホルモンのDHTを減らして進行を止める“予防治療”と、小さくなった毛包を大きくし、再び強い髪が生えるようにする“毛髪再生医療”の2種類です。

実際に治療を行う場合、進行度や症状に合わせて両方の治療を継続的に行うのが一般的です。

“予防治療”は別の記事で解説していますので、今回は“毛髪再生医療”について詳しく解説していきます。

毛髪再生治療の種類

毛髪再生治療は、年々治療法が増えてきている分野です。一般的に行われている毛髪再生治療法は、

  1. ミノキシジル成分をつかった治療
    1. ミノキシジル塗り薬
    2. ミノキシジル飲み薬
    3. ミノキシジル注射(メソセラピー)
  2. 再生医療技術を用いた注射
  3. 手術治療(自毛の植毛手術)

に分けられ、症状や希望に応じて行われます。

ミノキシジル成分をつかった治療

最も一般的で歴史も長いのは“ミノキシジル”という薬の成分を使った治療です。塗り薬が代表的で、症状が軽い方でも併用をしています。

ミノキシジルは飲み薬として処方されることもありますが、ミノキシジルの飲み薬は塗り薬に比べて副作用も強くなるので注意が必要です。

また、ミノキシジルと他の有効成分を配合した薬と直接頭皮に注射する“メソセラピー”という治療もあります。
詳しい解説

再生医療技術を用いた注射治療

再生医療技術を用いた注射が最も新しい治療です。

患者さんご自身から採取した血液細胞や脂肪細胞を、治療に有効と考えられている成分に加工し、頭皮に注射する治療です。

自分自身の細胞を使って治療を行うため、再生医療治療には心理的にも安心でき、実際に副作用も減らせるというメリットがあります。

従来は薬で効果が出ない人には手術がすすめられていましたが、頭部にメスを入れることに抵抗感のある人も多くいらっしゃいました。再生医療技術の治療はそうした薬の服用と手術の間を埋める治療として注目されています。
詳しい解説

手術治療(植毛手術)

症状が進んでおり、希望される方には植毛手術が行われます。自身の後頭部など、薄毛が進行していない部位の毛を皮ふごと移植します。

手術を終えれば毛髪が生えている状態にすぐ戻ることができるため、植毛手術は、「1年後の結婚式までに」など増毛したい期日が明確な人に特に適した治療法です。
詳しい解説

ミノキシジル成分を使った治療

「歴史ある育毛剤」ミノキシジル塗り薬

ミノキシジルが開発されたのは1960年代のことでした。

当時は高血圧に対する飲み薬としてアメリカのアップジョン社(現ジョンソン&ジョンソン社)が開発しました。

しかし服用している患者で毛の成長や薄毛部分の改善などの副作用が発見されたことで、薄毛治療薬としての研究が始まり、アメリカでは1980年代に薄毛治療薬として認可を受けました。

日本では医師の処方が必要な医療用医薬品だけでなく、濃度が5%以下のミノキシジル塗り薬は“市販医薬品”として厚生労働省の認可を受けて販売されています。

市販医薬品とは、医師の処方が無くても薬局で購入することができる薬のことで、ミノキシジル塗り薬で最初に販売された製品は、1999年に大正製薬から発売された現在でも抜群の知名度を誇る“リアップ®”です。

リアップ®は第一類医薬品に指定されているので購入は薬剤師のいる薬局でないとできません。ミノキシジル塗り薬は病院で医師に処方を受けるか、薬剤師のいる薬局で購入することで入手できます。

ミノキシジル塗り薬の種類

ミノキシジル塗り薬は、ローションタイプ、クリームタイプ、フォームタイプ(泡)の3種類があります。

「さらっとしたローションタイプ」「どろっとしたクリームタイプ」「泡状のフォームタイプ」のどれを選ぶかは、患者さんご自身の好みの使用感に応じて選ぶことになります。

タイプによって効果はそこまで変わりませんが、習慣化のしやすさに違いがでてきます。最も人気があるのはローションタイプです。

ミノキシジル塗り薬の濃度の違い(クリニックvs薬局)

市販で販売されているものは、0.5%と極度に濃度が低いものから、5%と許可されている最大濃度まで含まれているものもあります。薬局で購入する場合は、ミノキシジルの濃度を確認して購入しましょう。(濃度毎の効果や副作用については「ミノキシジル5%のほうが効果が高い」を参照)

AGA専門クリニックでは、症状や進行にあわせて5%以上の濃度のミノキシジル外用薬を取り扱っている医療機関が多いです。

ミノキシジル塗り薬の効果と副作用

ミノキシジル塗り薬の効果として、毛髪の量が増えることが期待されます。

毛が増える理由は、頭皮への血流が増加するからです。また、ヘアサイクルの成長期間(1本の髪が生えてから成長を続ける期間)が長くなり、休止期間(成長し終わった髪が抜けるまでの期間)が短くなる効果もあると考えられています。

毛が伸びる時間が増え、休止期の脱毛が減ります。副作用としては皮膚の炎症が起きる場合があります。また、添加物によりお肌に合わないことがあります。

また、上述のように成長し終わった髪が抜けるまでの期間が短くなるので、ミノキシジルを投与して間もない時期は“成長は止まっているけれど抜けていなかった髪”が抜けることになります。

そのため使い始めてすぐの時期には抜け毛が増えるように感じられることがあります(ミノキシジルの初期脱毛といわれます)。

ミノキシジル塗り薬の使い方と効果が出るまでの期間

ミノキシジル塗り薬を使用する際は医師から処方された量を毎日使うようにしましょう。市販薬では添付文書に記載があります。

一般的な話をすると、毎日服用することになるので、汗をかきやすいといった体質や生活スタイルに応じて継続して使いやすいものを選ぶようにしてください。匂いが苦手な方もいるようです。

服用形式としては、決まった量を1日二度乾燥した頭皮に塗りこむのが一般的です。効果が確認できるまで最低限4か月使用を継続する必要があり、4〜8か月で発毛効果が見られるとこれまでの研究から考えられています。

ミノキシジル塗り薬の初期脱毛

服用を続けることで、毛髪の再生効果を保つことができます。中断期間があると、8ヶ月以上効果がかかるまで時間がかかることがありますが、一般的に経過の途中で発毛の効果が乏しい場合は、薬の濃度を途中で上げることもあります。

服用し始めてからすぐの期間は抜け毛が増えたと感じられることがありますが、初期脱毛は2か月以内に解消されるのが一般的だと考えられています。

【補足1】ミノキシジルはなぜ毛を増やすのか(作用機序について)

毛髪を成長させる効果が出る要因としては、AGAの進行によって小さくなった毛包がミノキシジルによって大きくなるからだと考えられています。

実はミノキシジルが毛包を大きくするメカニズムはまだ明らかになっていないません。

いくつか説が提唱されており、毛包に運ばれる栄養が増えることによって毛包が成長するというのが有力な説の1つです。

ミノキシジルはもともと、血管が固くなり高血圧になっている人の血管を緩くし血圧を下げる薬でした。特に手先や皮膚などの細い血管を緩める作用が強く、頭皮の血管も緩くします。

頭皮の血管が緩くなることで、頭皮に流れる血流量が増え、毛包を育てる栄養も血液に乗って多く毛包に届くようになり、毛が増えると解釈されています。

【補足2】ミノキシジル濃度5%が最も効果があるとする研究

市販薬ではミノキシジル塗り薬の濃度は5%が最大濃度です。では、5%より薄いミノキシジルでは効果は少ないのでしょうか。

これを調べるために、2002年のアメリカで18~49歳のAGA患者393名を対象にプラセボ対照ランダム化試験が行われました。(参考文献

プラセボ対照ランダム化試験とは、患者をグループに分け、治療薬を投与するグループの他に一つのグループには治療薬によく似せた偽薬を投与する試験方法です。

被験者は「濃度2%」と「濃度5%」のミノキシジルローションと「ミノキシジルのはいっていないローション」を投与されるグループに分けられ、1年間(48週間)1日2回頭皮に振り分けられた薬を毎日塗りました。

その結果、1年後に頭皮1c㎡あたりの毛髪の増加数を調べると、ミノキシジル5%は18.6本の増加、ミノキシジル2%は12.7本の増加、偽薬(なしの場合)は3.9本の増加という結果になりました。

また、医師が判断する頭皮の被覆率(毛におおわれた面積の多さ)と患者自身が評価する被覆率と満足度の評価においても、ミノキシジル5%が最も優れた結果が得られたと報告しています。

一方で、2%ミノキシジルを塗った患者と比較して5%ミノキシジルを塗った患者の方が、かゆみや炎症が多く見られたことも報告されています。

この研究では、5%以上のミノキシジル濃度については調査していません。濃度が濃くなれば、副作用もそれだけ頻度は上がるため、5%以上の高濃度ミノキシジルはクリニックでしか処方できません。
(参考:ミノキシジル塗り薬の濃度の違い クリニック vs 薬局

【補足3】市販でリアップ®シリーズを買うなら濃度5%の「X5プラス」

上述の通り、1%のミノキシジルより5%ミノキシジルのほうが効果が高いです。

クリニックに通って、自分にあった塗り薬をだしてもらうのが1番ですが、どうしても「AGAクリニックに通いにくい」という方もおられるかと思います。

例えば同じリアップシリーズでも、商品によってミノキシジル濃度が異なっています。ミノキシジル成分濃度を必ず確認し、薬剤師に相談するようにしましょう。

【補足3】ミノキシジルは、飲み薬と塗り薬では安全性が全然違う

上記試験以外にも、ミノキシジルの塗り薬は多数の臨床実験が世界中で行われており、近い結果が得られたと報告されています。

毛包に作用するメカニズムは明らかになっていませんが、ミノキシジルの効果と安全性は多くの臨床研究で明らかになり、副作用の頻度もデータが集まってきています。

注意していただきたいのは、上記の研究結果はミノキシジル塗り薬に関する研究です。ミノキシジルの塗り薬と飲み薬は、副作用が全く異なります。「塗り薬」と「飲み薬」を混同しないように気を付けてください。

「効果はあるけれどリスクが高い」ミノキシジル飲み薬

塗り薬で有名なミノキシジルですが、ミノキシジルには飲み薬もあります。ミノキシジルタブレットを略して“ミノタブ”と呼ばれることもあります。

飲み薬も増毛効果が確認されていますが、安全性は検証されていないのが現状ですので注意してください。

飲み薬は手軽に摂取でき、習慣化できるという点では非常に優れています。ところが、薬の有効成分が全身にとりこまれるため、思わぬ副作用が出ることも多々あります。

ミノキシジル飲み薬の副作用

ミノキシジルは全身にとりこまれれると、心臓の副作用もあり命にかかわることもあり、安易に勧められるものではありません。

血圧が低下すると、心臓へも血液の供給ができなくなり、心臓が停止する危険性もあります。怖い副作用以外では、体毛が増えることも多々あり、生活の質が下がってしまう可能性もあります。

通常、ミノキシジル飲み薬の処方は極めて慎重に行われ、だれでも処方をうけることができるわけではありませんので、ご注意ください。海外輸入で自己判断で飲んでいる方は、こうした副作用に気づかない恐れがあるため、危険であることを認識しましょう。

ミノキシジル自体は安全ではありません

上述の塗り薬についての説明を読んでいただき、ミノキシジルは安全性と有効性について理解いただいたと思います。

そうした「ミノキシジルは安全だ!」という主張だけを切り取り、塗り薬ではなく、飲み薬として処方する医療機関もあります。しかもオリジナル薄毛治療薬やミノタブとして処方される場合がほとんどですので、ご注意ください。

塗り薬は安全性は検証されていますが、飲み薬は安全性の検証が全くされていません。どうしても飲む場合は、AGA専門クリニックでの定期的な診察を必ずうけるようにしてください。

 

▷ 2.再生医療「ミノキシジル・メソセラピー」はAGAに効果がある?

各治療の比較

各治療を比較した表になります。

参考文献

2002年のアメリカの論文

J Am Acad Dermatol. 2007 Nov;57(5):767-74. Epub 2007 Aug 29. Multicenter Study; Randomized Controlled Trial; Research Support, Non-U.S. Gov’t
 

1999年 New England Journal

N Engl J Med. 1999 Sep 23;341(13):964-73. Review